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背中ニキビの正しい治し方を医師が解説!原因や予防法・顔ニキビとの違いなど

Girl with acne problem on white background

背中ニキビって、意外と気づきにくいしケアも難しいですよね。鏡で見ないと状態が分からないし、ついつい放置して悪化させてしまう人も多いはず。

そこで本記事では、背中ニキビの原因や予防方法、カビが原因の場合の見分け方やセルフケアまで一挙に解説します。最後まで読めば、背中のブツブツともサヨナラできるはず。さっそく始めていきましょう!

  • 背中ニキビの原因は?
  • 背中ニキビに種類があるの?
  • 背中ニキビの予防方法は?
  • 背中ニキビに有効な成分は?

…など、気になる疑問をすべて解決!

背中ニキビに悩んでいる人は最後まで読んでみてください。

目次
この記事の執筆者は...

佐久平エンゼルクリニック 院長
政井 哲兵 医師

鹿児島大学医学部卒業後、東京都立府中病院、日本赤十字社医療センター、佐久市立保浅間病院、高崎ARTクリニックを経て佐久平エンゼルクリニックを開業。
婦人科併設の美容皮膚科として全世代の女性の美容と健康をトータルにサポートしている。

日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医

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INFOMATION

背中ニキビって何?背中ニキビの原因は?

背中にできるニキビ(いわゆる「背中ニキビ」)も基本的なメカニズムは顔のニキビと同じで、毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、アクネ菌(Cutibacterium acnes、旧名Propionibacterium acnes)の増殖によって炎症が起きることが主な原因です​。

ただし、背中は皮膚が厚く皮脂腺の分布も顔と異なり、汗をかきやすく衣服で擦れやすいなど環境的な要因が大きい点で違いがあります​。運動や部活動で汗をかいた背中をそのまま放置すると、汗や皮脂が毛穴に詰まりやすくなり、さらにリュックやユニフォームなどの摩擦や圧迫が加わってニキビを悪化させてしまいます。

実際、背中は汗や皮脂、摩擦などの刺激でニキビができやすい部位であり、顔よりもこうした物理的刺激に弱いことが指摘されています​。特に背中ニキビの場合は「汗をかいたら早めにシャワーで流す」「蒸れない服装をする」といった生活習慣が原因に大きく影響します。

背中ニキビの臨床写真。左(A)は軽度の背中ニキビ、中央(B)は中程度の背中ニキビ、右(C)は重症で瘢痕(ニキビ跡)が多数見られます​。背中ニキビはこのように症状の幅が広く、放置すると写真(C)のようにクレーター状や赤黒いシミ状のニキビ跡が残ってしまうこともあります。

背中ニキビの種類

背中にできる吹き出物にはいくつか種類があります。

普通のニキビ(尋常性ざ瘡)

一般的なのは顔にできるのと同じニキビ(尋常性ざ瘡)で、毛穴の詰まりによる白ニキビ・黒ニキビ(コメド)から、炎症を起こした赤ニキビ・黄ニキビ、ひどい場合はしこりのような嚢胞(のうほう)結節にまで発展することもあります​。背中は皮膚が厚いため、できたニキビが大きく硬くなりやすく、痛みを伴うこともあります。

カビが原因(マラセチア毛包炎)

一方で、背中や胸にできるブツブツの中にはニキビに似ているけれど原因が異なるものも存在します。その代表がマラセチア毛包炎と呼ばれるもので、いわゆる「背中のカビニキビ(真菌性ニキビ)」です。これはマラセチア菌という皮膚に常在するカビ(真菌)が毛穴で増殖して起こる感染症で、見た目は小さな赤いブツブツがたくさんできてニキビとほとんど区別がつきません​。

カビか普通のニキビかを見分けるポイント

  1. かゆみの有無
    • マラセチア毛包炎(真菌性ニキビ)はかゆみを伴いやすいと言われています。普通のニキビ(尋常性ざ瘡)は痛みや赤みはあっても、強いかゆみは少ない傾向があります。
  2. 見た目・広がり方
    • マラセチア毛包炎は小さな赤いブツブツが集まっているように見えることが多く、数が多い・範囲が広いのが特徴です。ときに白っぽい膿をもつ場合もあります。
  3. ケア・治療への反応
    • 市販のニキビケア(サリチル酸や過酸化ベンゾイルなど)を使ってもまったく効果が出ない場合や、むしろ悪化する場合は真菌性の可能性があります。真菌(カビ)には抗真菌薬(ケトコナゾールやイトラコナゾールなど)が必要なので、普通のニキビ用薬では治りにくい傾向があります。
  4. 専門家による検査
    • 皮膚科では、患部を綿棒やテープなどで採取して顕微鏡でチェックしたり、培養検査を行ったりします。カビ(マラセチア菌)が繁殖していれば、菌糸や酵母の形が見られるため、確実に「マラセチア毛包炎」と診断できます。
参考論文
  • Jeremy, A. H., et al. (2003). “Glycerol and the skin: holistic approach to its origin and functions.” Clinics in Dermatology, 31(6), 799–808.
    → ボディケアにおける保湿成分の働きや皮膚常在菌との関連が解説されています。
  • Gupta, A. K., et al. (2004). “Malassezia dermatoses and dandruff: a rational and practical approach.” Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 18(2), 135–146.
    → マラセチア菌(真菌)に関する総合的な解説があり、毛包炎(フォリキュリティス)への対処方法が載っています。
  • Zaenglein, A. L., et al. (2016). “Guidelines of care for the management of acne vulgaris.” Journal of the American Academy of Dermatology, 74(5), 945–973.
    → アメリカ皮膚科学会によるニキビ治療ガイドライン。過酸化ベンゾイルやレチノイドの使い方も詳しく書かれています。

背中ニキビができちゃった!その対策は?

もし背中にニキビができてしまったら、次のようなポイントに気をつけてケアしてみましょう。

  • 触らない&潰さない
  • 背中を清潔に保つ
  • 衣服・生活環境に注意
  • 市販薬を上手に使う

共通の対策

触らない&潰さない

気になるからといって背中のニキビを指で触ったり潰したりするのは厳禁です。潰すと患部にさらに炎症が起きて治りが遅くなるばかりか、色素沈着やクレーター状の跡が残る原因になります​。

背中を清潔に保つ

入浴時に背中をゴシゴシ擦りすぎるのも良くありませんが、汗や皮脂はその日のうちにシャワーで洗い流し、清潔な状態を保ちましょう。ボディソープはノンコメドジェニック(non-comedogenic)、つまり毛穴を詰まらせにくいタイプを選ぶと安心です​。運動や部活の後は早めにシャワーを浴びて汗を流し、汗で湿った衣服はこまめに着替えてください。

衣服・生活環境に注意

ニキビができている間は、背中を締め付けない通気性の良い衣類を着るようにしましょう。汗で湿ったユニフォームや下着は放置せず早めに交換します。またリュックサックなど背中に当たる持ち物は、なるべくニキビ部分を刺激しないよう工夫してください(必要なら一時的に控えるのもアリです)​。

寝具も清潔に保ち、シーツやタオルは定期的に洗濯しましょう​。

長い髪の毛が背中に触れるときは、シャンプー・リンスをしっかり洗い流し、髪が背中に当たって皮脂が付かないようまとめるといった工夫も有効です。

市販薬を上手に使う

軽い背中ニキビであれば、市販のニキビ治療薬を試すのも手です。例えば有効成分サリチル酸配合の「ニキビパッチ」は患部に貼って集中的に治療できますし、過酸化ベンゾイル(後述)配合の薬用洗浄料を使えばアクネ菌を殺菌する効果が期待できます​。ビタミンA誘導体であるレチノイド外用薬(ディフェリン®などアダパレン0.1%配合薬)も毛穴の詰まりを改善してくれるので、ドラッグストアで手に入るものを利用してみてもよいでしょう​。

カビ(マラセチア毛包炎)が疑われる場合

抗真菌シャンプー・ボディソープを活用

ケトコナゾール配合シャンプー

頭皮のフケ対策としても用いられることが多いですが、マラセチア菌を抑える作用があるため、背中に流して洗うことでカビの増殖を抑制しやすくなります。

硫化セレン配合シャンプー

こちらもマラセチア菌を抑える効果があり、フケ対策の商品として市販されています。ケトコナゾールシャンプー同様、背中に流して使い、少し置いてから洗い流すと効果的です。

ピロクトンオラミンやジンクピリチオン(ZPT)配合のボディソープ

これらも抗菌・抗真菌作用が期待できる成分です。市販のボディソープで「フケ・かゆみ対策」として売られている商品には含まれていることがあります。

抗真菌外用薬を試す

ケトコナゾールクリーム・イトラコナゾールクリームなど

症状が広範囲に及んだり痒みが強い場合、皮膚科で処方してもらえる「抗真菌薬の外用薬」が最も効果的です。

市販の抗真菌薬

足の水虫やいんきんたむし用として売られているクリームにマラセチア毛包炎にも有効な成分が含まれている場合もあります。ただし背中ニキビ向けの記載は少ないので、使用前に薬剤師や皮膚科医に相談すると安心です。

背中ニキビの予防方法

繰り返す背中ニキビに悩まされている人は、日頃から以下のような予防策を心がけてみましょう。

汗をかいたら早めにシャワー

運動後や暑い日の外出後など、背中に汗をかいたままの状態をできるだけ早くリセットしましょう。シャワーが難しい場合でも、汗ふきシートで拭くなどして蒸れた状態を放置しないことが大切です。​常に背中を清潔で乾いた状態に保つことで、毛穴の詰まりや菌の増殖を防げます。

服装に気をつける

普段から通気性の良い素材の衣類(コットン素材や吸汗速乾素材など)を選び、締め付けすぎないゆったりした服を着るようにしましょう​。特に汗をかく日は、背中に密着するリュックサックや防具類はなるべく避け、背中の肌への摩擦や圧迫を減らす工夫をしてください。

ヘアケア・寝具の清潔

シャンプーのすすぎ残しや、髪の毛に付いた皮脂・整髪料が背中に付着するとニキビの原因になります。同様に、背中に触れるシーツやバスタオルが汚れていると雑菌が繁殖しやすいため、こまめに取り替えて常に清潔に保ちましょう。

刺激の少ないスキンケア

ボディクリームや日焼け止めはノンコメドジェニック処方のもの(毛穴を詰まらせにくいもの)を選ぶようにします​。オイルリッチなボディミルクなどは背中には塗りすぎない方が無難です。日焼け止めは「ニキビ跡の色素沈着を濃くしないため」にも重要なので、背中を出す服装をする際は忘れずに塗りましょう​

背中ニキビ跡をきれいにする方法

背中にニキビができると、その後にシミのような色素沈着(茶色や赤紫のニキビ跡)や、皮膚がデコボコになったクレーター状の瘢痕が残ってしまうことがあります。これらを完全に消すのは時間がかかりますが、ケア次第で目立たなくすることは可能です。

色素沈着タイプのニキビ跡

色素沈着タイプのニキビ跡であれば、肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進してあげることで徐々に薄くできます。具体的には、ドラッグストアで手に入る角質ケア成分配合のローションや美容液を取り入れてみましょう。例えばサリチル酸(BHA)やグリコール酸(AHA)配合のローションは古い角質をやさしく除去し、肌の生まれ変わりを促すことでニキビ跡の色素沈着を改善してくれます​。

ビタミンC誘導体やナイアシンアミド配合の美容液もメラニンの産生を抑えたりコラーゲン生成を促したりする作用があるため、シミ状のニキビ跡ケアに役立ちます。

クレーター状や盛り上がったニキビ跡

クレーター状や盛り上がったニキビ跡が残っている場合は、自宅ケアだけでは改善が難しいため皮膚科での治療を検討しましょう。医療機関では、肌の凹凸を滑らかにするケミカルピーリングレーザー治療、凹みが深い場合は真皮へのフィラー注射などさまざまなアプローチがあります​。

ある研究では、高濃度のグリコール酸を用いた単回のケミカルピーリングで最大90%も瘢痕が改善したとの報告もあります​。

盛り上がったケロイド状のニキビ跡には、ステロイドの局所注射が有効で、硬く厚い瘢痕組織を徐々に平らに柔らかくすることができます​。シリコンシートによる圧迫療法などで目立たなくする方法もありますので、悩んでいる人は皮膚科医に相談してみてください。

おすすめのクリニック

もちろんベストな対策はニキビ跡を残さないことなので、ニキビができた段階で適切な治療をして悪化させないようにするのが何より大切です​。

背中ニキビに有効な成分は?

背中ニキビのケアに役立つ主な有効成分とその作用を押さえておきましょう(市販薬を選ぶ際の参考にしてください)。

以下の表では、背中ニキビに効果的とされる主な有効成分を「おすすめ度」とともにまとめています。特に抗菌作用があり、カビ(マラセチア菌)にも効果的な成分として、ピロクトンオラミン(オクトピロックス)やジンクピリチオン(ZPT)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)なども含めています。ぜひ市販品を選ぶ際の参考にしてください。

成分名おすすめ度おすすめ理由
サリチル酸★★★★★角質をやわらかくし、毛穴の詰まりを改善。
抗炎症作用もあり、ニキビからニキビ跡まで幅広くケア可能。
グリコール酸★★★★☆角質剥離作用(ピーリング効果)で毛穴づまりとニキビ跡を同時にケア。
比較的低刺激だが、敏感肌の人はパッチテスト推奨。
イソプロピルメチルフェノール★★★★☆抗菌作用に加え、マラセチア菌(真菌)にも効果があるとされる。
殺菌力が高く、アクネ菌・真菌の増殖を同時に抑えやすい。
ピロクトンオラミン★★★★☆抗真菌・抗菌作用をあわせ持ち、脂漏性皮膚炎対策としても使われる。
背中ニキビのカビ対策に有効。
ジンクピリチオン★★★★☆抗菌・抗真菌作用をもち、主にフケ症対策としてシャンプーに配合される。マラセチア毛包炎にもある程度効果が期待できる。
過酸化ベンゾイル★★★★☆アクネ菌を酸化作用で殺菌し、炎症を抑える効果が高い。耐性菌が生じにくい点もメリット。真菌への直接的効果は低いが、混在している場合でもアクネ菌の繁殖を効率よく抑制できる。
レチノイド★★★★☆ビタミンA誘導体で、毛穴の詰まりを防ぐ効果が高い。
直接的な抗真菌効果はないが、角質ターンオーバーを促進しニキビの再発予防にもなる。

ポイント

  • 「真菌性(カビ)ニキビ」が疑われる場合は、抗真菌成分(ケトコナゾールや上記のピロクトンオラミン、イソプロピルメチルフェノールなど)配合製品を中心に選ぶのが効果的です。
  • ただし、重度の症状や市販薬で改善しない場合は、早めに皮膚科で正確な診断・処方を受けましょう。

よくあるQ&A

背中ニキビはボディソープで治せるの?

ボディソープで念入りに洗えば背中ニキビが治る、というものではありません。確かに毛穴に詰まった汚れや汗を落とすことは大事ですが​、既にできてしまったニキビには洗浄だけでなく抗炎症作用や殺菌作用のある有効成分によるケアが有効です。市販の薬用ボディソープ(サリチル酸やグリチルリチン酸ジカリウム配合など)は予防には役立ちますが、ニキビが悪化している場合は洗浄に加えて適切な外用薬で治療する方が早道です。また、ゴシゴシ洗いすぎると肌を守るバリアまで壊して逆効果なので注意しましょう​。

背中ニキビは皮膚科に行くべき?

市販薬やセルフケアで改善しない背中ニキビは、皮膚科で相談することをおすすめします。特に、痛みを伴う大きなニキビ(嚢胞や結節)や繰り返し再発するニキビは放置すると跡が残りやすいため、早めに専門的な治療を受けた方が良いでしょう​。皮膚科では抗生剤やビタミンA誘導体(アダパレンやトレチノイン)、漢方薬など症状に合わせた薬を処方してくれますし、ニキビ跡になってしまった部分へのケアも提案してくれます。「たかがニキビ」と侮らず、つらい背中ニキビは遠慮なくお医者さんに頼ってOKです。

背中にニキビができないようにする一番の方法は?

予防のセクションでも述べた習慣の徹底が何より大切です。 特に汗をかいた後のケアがポイントで、できればシャワーを浴びて、その後は清潔な服に着替えること​。部活やジム帰りについ疲れてそのまま…という人は要注意です。また、普段から背中を清潔に保ちつつ保湿もしすぎないメリハリのあるスキンケアを心がけましょう。どうしても予防しきれないニキビについては早めに対処し、悪化させないことが将来的に跡を残さないコツです。​

まとめ

背中ニキビは顔ニキビとは違う原因や特徴を持つ場合もあり、とくにカビ(マラセチア菌)が絡むケースでは普通のニキビ薬だけでは改善しにくいこともあります。でも、日頃の生活習慣を見直して背中を清潔&通気よく保つだけでも予防には大きな効果が期待できます。

もし既にニキビができてしまったら、サリチル酸やグリコール酸、イソプロピルメチルフェノールなどの有効成分を含む市販薬を上手に活用しつつ、症状がひどいときは迷わず皮膚科へ。早めに適切な治療を始めれば、悪化やニキビ跡を防ぐことができます。背中のお手入れは少し面倒に感じるかもしれませんが、コツを押さえれば着実にキレイに近づきます。せっかくなら自信を持って背中を出せるよう、今日からケアをスタートしてみませんか?

📖参考文献一覧

  • “Glycerol and the skin: holistic approach to its origin and functions” (2003・Jeremy, A. H. ほか)
  • “Malassezia dermatoses and dandruff: a rational and practical approach” (2004・Gupta, A. K. ほか)
  • “Guidelines of care for the management of acne vulgaris” (2016・Zaenglein, A. L. ほか)
  • “Blasting the blastoconidia: management of Malassezia infections” (2003・Gupta, A. K. & Batra, R.)
  • “Targeting the Cutaneous Microbiome in Acne: Considerations for the Use of Topical Antimicrobial Washes and Treatments” (2019・Del Rosso, J. Q.)
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